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広告・表示に関する相談

2018年4月26日
はじめに

最近、個人事業主や法人を問わず、チラシやウェブサイトなどを使って集客を図る際の、広告や表示に関する相談が多いように思います。
事業を営む者にとって集客のために広告をすることは非常に大切であることは説明するまでもありませんね。とあるIT関係会社の社長からは、「ウェブ上に存在しない会社は実際に存在しないのと同じだ。」とまで言われたのを覚えています。

最近ではスマホゲーム「THE KING OF FIGHTERS ’98 ULTIMATE MATCH Online」のガチャの表示について、景品表示法違反があったことも話題になりました(大木もこのゲームを遊んでいて、無課金ながら頂上決戦ではサーバ1位を何回かとっていました。このゲームをやっていた人であれば多少凄さが分かるかも)。

今回は広告・表示に関する状況や、関係法令や指針などをみていきます。

広告・表示に関する状況

「とにかくネットに必要なキーワードをたくさん盛り込んでSEO対策を絡めて誇張した」というような広告が多くあります。ただ、景品表示法に基づく課徴金納付命令の導入によって、事業者側にも問題意識が出てきたかもしれません。
消費者庁「景品表示に基づく法的措置件数の推移(平成30年3月31日現在)」をみると、平成29年の措置命令が増えていることが分かります。

また、「東京都消費生活調査員調査」の表示・広告調査結果がネットでも拾えるので見てみると、「平成28年度第1回 スポーツ・健康教室に関する広告調査」では、「不当と思われる表示あり」が176件の内166件もあるようです。
平成28年度第2回 健康茶の表示 店頭調査」では、167件中125件が不当と思われる表示ありとの回答でした。

「ただし個人差があります」というような表示の例外を示す表示(打消し表示)に関する報告(消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書」)では、基本的な考えや問題のある打消し表示等について記載されており、打消し表示をする際の参考になります。

広告・表示の検討事項

1 法律
まず検討すべき事項としては景品表示法(正式には「不当景品類及び不当表示防止法」)に抵触しないかどうかですね。その中でも依頼者からの相談で多いのが「有利誤認」(同法5条第2項)に関するものです。消費者庁のHPの文言をそのまま使いますが

「(1)実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

(2)競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

であり、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示」を禁止している有利誤認表示の禁止)。

ということです。
有利誤認に当たるかなかなか線引きは難しいと思いますし、リスクを過度に意識すると広告することに対して委縮をしてしまうことにもなりかねません。ガイドラインや処分事例を検討して感覚を養っていくことが大切かなと思います。

他にも個人情報保護法や医療法、薬機法等にも配慮する必要があります。

 

2 指針・ガイドライン
業種によっては指針やガイドラインがあります。弁護士にも広告に関する指針があります。医療広告ガイドラインや柔道整復師、カイロプラクテックスについても検討したことがありました。
病院のHP(ホームページ)は認知性を欠いていることから広告に該当しないと今は言われており(平成30年4月26日現在の医療広告ガイドライン。下にリンクを貼ったガイドラインは新しいものです。)、「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針」により自主的な取組が促されていました。ただ、HPによる影響はかなりあると思います。そのため、医療法等の一部を改正する法律により医療機関のウェブサイト等についても他の広告媒体と同様に規制の対象とされる予定です。よくある体験談の広告も規制されるので気を付ける必要があります。新しいガイドラインや規制の概要に関するリンクを貼っておきます。

医療広告ガイドライン(仮称)

医療広告規制の検討状況と今後の取り組みについて

 

3 倫理上の問題
個人的には、大学で企業倫理を専攻していたため、法律などに抵触しなくても本当にそれでよいのかをついつい検討してしまいます。
景品表示法等をしっかり遵守していれば、それなりに企業倫理を果たしているようにも思います。ただ、あまりにも品のないものはどうだろうかとか、売上をあげることのみを目的としてよいのかなど、長期経営を維持する上では重要なことなのかなと思います。

まとめ

遵守しすぎると広告や表示が委縮してしまうことにもなりかねず、だからといって明確に大丈夫といえるものでもないので、なかなか難しいです。しかし、どのような広告が違法になるのかをしっかりと考えて、合理的な根拠などに基づいていることを心がけていけば、そこまで違反になるようなことはないのではないかと思います。自戒の念を込めてまとめとします。

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